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海外移住のための資産移動ガイド!節税対策やタックスヘイブンについても解説

  • 2024年6月10日
  • 読了時間: 16分

更新日:2月20日


海外移住のための資産移動ガイド | 節税対策のポイントや賢い国選びを解説


家族での海外移住を考える際、資産移動は頭を悩ませるものです。特に税務上の問題や法的な手続きは、事前に知っておくべき重要なポイントとなります。


この記事では、資産移動の流れ、必要な書類、税務上の注意点について、初めて海外へ移住する方向けにわかりやすく解説します。


移住先の選びのポイントやおすすめの移住先も紹介するので、読み終わるころには、より具体的に海外移住計画を立てられるようになるでしょう。







海外移住における資産移動の基礎知識


海外へ移住するステップの中で、資産移動は避けて通れない重要なステップです。どのようにして資産を安全に、かつ効率的に移動させるかは、多くの方が直面する課題でしょう。ここでは、その基本的な流れと注意点を詳しく説明します。


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資産移動の一般的な流れ


安全かつスムーズに資産移動を行うために、下記の5つのステップを参考にし、計画的に資産移動を行うようにしましょう。


【資産移動の5ステップ】


  1. 資産の評価

最初に、移動する資産の全体を正確に評価します。これには、不動産、銀行口座の残高、株式などが含まれます。


  1. 資産の分類

次に、これらの資産を「移動可能な資産」と「移動不可能な資産」に分類します。例えば、不動産は物理的に移動できませんが、その売却から得た資金は移動可能です。


  1. 法的手続きの確認

資産に応じて必要な法的手続きを確認し、移動に必要な書類を集めます。


  1. 税金の計算

資産を国外に移す際の税金を計算します。これには、移転税やキャピタルゲイン税が含まれる場合があります。


  1. 資産の移転

全ての準備が整ったら、資産を安全に移転します。これには銀行の国際送金、不動産の売却手続きなどが含まれます。


このプロセスには銀行口座の開設、国際送金、そして現地での資産再配置が含まれます。

これらの手続きは、専門家に問い合わせることを強くおすすめします



必要書類


資産移動には下記の複数の書類が必要です。


【資産移動のための必要書類】


  • 銀行の残高証明

  • 不動産所有証明

  • 税金清算証明

  • 法的身分を証明する書類 (パスポートやIDカード等)


これらの書類は、英語で証明書の提出を求められることが一般的です。国によって異なる場合があるため、移住先の国の要件を事前に調べることが重要です。また、アポスティーユを取得する必要がある場合もあるので、確認する必要があります。



資産移動時の税務上の注意点

二重課税を防ぐ対応

異なる国において同じ資産から二度税金を取られることがあります(二重課税)。これを避けるためには、その国が「二重課税を防ぐための特別な取り決め(条約)」をしているかを確認し、その取り決めに従った手続きを行う必要があります。可能であれば、税理士に相談し、以下の点をクリアにしておくことをおすすめします。


【資産移動時の確認すべきポイント】


  • 移動する資産に関する税金の計算

  • 移住先との税条約による税率の確認

  • 移住後の税金申告方法


二重課税防止条約がある国への移住の場合は、条約に基づく税率で計算されることが多いですが、詳細は専門家に確認するようにしてください。

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)への対応

2017年および2023年の税制改正により、タックスヘイブン対策税制の適用範囲が大幅に拡大されました。この制度は、日本企業がタックスヘイブンに子会社を設立して租税を回避することを防ぐためのものです。


特定外国関係会社等に該当すると、以下のような課税が行われます:


- 外国子会社の所得がすべて日本の親会社の所得に合算される

- ペーパーカンパニー(実体のない会社)は特に厳しく判定される


ペーパーカンパニーと判定される基準:


1. 実体基準:本店所在国に事業に必要な事務所が存在しない

2. 管理支配基準:本店所在国で自ら事業の管理を行っていない

3. 事業基準:どの国でも営める事業である(金融資産の保有のみなど)

4. 所在地国基準:主な事業を本店所在国で行っていない


これらの基準を満たさない場合、タックスヘイブンに会社を設立しても節税効果は得られません。実体のある事業活動を現地で行うことが、合法的にタックスヘイブンを活用する鍵となります。



移住先での資産管理と税務申告のポイント


移住先での生活をスタートさせた後も、資産の管理と税務申告は続きます。特に注意すべきポイントは以下の通りです。


【移住先での資産管理のポイント】


  • 現地での銀行口座開設

移住先で生活を始めるにあたり、現地の銀行口座を開設することが一般的です。銀行口座を開設する際は、必要な身分証明書や住所証明、場合によっては初期預金が求められることもありますので、事前に準備をしておくことが重要です。


  • 税務申告

多くの国で年一回の税務申告が求められます。移住先の税制を理解し、必要な申告を行うことが大切です。申告を怠ると罰金や追徴税の対象となる可能性があるため、移住した年の税制や申告期限については、移住前に詳細を確認しておくべきです。


  • 資産の再評価

国外に移住することで、通貨の変動や市場の変化により資産の価値が大きく変動することがあります。特に不動産や株式などの大きな資産は、定期的に再評価を行い、その結果を税務申告に反映させることが必要です。




【制限納税義務者制度を活用した相続税対策】

海外移住による相続税対策として、「制限納税義務者」制度を活用する方法があります。


制限納税義務者とは:

相続人・被相続人がともに日本国外に居住している場合、日本国内にある財産のみが相続税の課税対象となり、海外資産には相続税がかからない制度です。


制限納税義務者になるための条件:


- 資産を持つ本人(被相続人)が10年以上海外に居住していること

- 相続させる相手(相続人)も10年以上海外に居住していること


※2017年の税制改正前は5年以上でしたが、現在は10年以上に厳格化されています。


注意点:


1. 日本国内の財産には課税される:不動産などは相続税の対象となります

2. 出国時に課税される可能性:1億円以上の有価証券を保有している場合、「国外転出時課税制度」により含み益に所得税が課税されます

3. 国外財産調書の提出義務:12月31日時点で海外に5,000万円以上の財産がある場合、翌年6月30日までに税務署への提出が必要です(提出漏れには罰則あり)


制限納税義務者制度は長期的な計画が必要なため、移住を検討する際は早めに専門家に相談することをおすすめします。


タックスヘイブンを活用した海外移住


資産家が海外へ移住する際、低税率で知られるタックスヘイブンの国や地域を選ぶことは少なくありません。実際に家族での移住を成功させるためには、タックスヘイブンへの移住のメリットとデメリットを理解した上で移住先を決定することが大切です。ここでは、タックスヘイブンについて詳しく解説していきます。



タックスヘイブンとは?


ックスヘイブン(Tax Haven)とは、「税金の避難所」とも呼ばれ、法人税や所得税、相続税などの税率が非常に低い国や地域を指します。これらの国や地域は、税負担が少ないため、多国籍企業や資産家にとって魅力的な位置づけられています。バハマやケイマン諸島などがタックスヘイブンとして有名です。



タックスヘイブンの4つの分類

タックスヘイブンには、税制の仕組みによって大きく4つのタイプに分類されます。移住や会社設立を検討する際は、自身の目的に合ったタイプを選ぶことが重要です。


①タックスパラダイス(無税国)

法人税や所得税などの税金をまったく課さない国・地域です。バハマ、バミューダ、ケイマン諸島、ブリティッシュ・バージン・アイランド、バーレーン、マーシャル諸島などが該当します。最も税負担が少ない一方で、国際的な監視も厳しくなっています。


②タックスリゾート(業種別優遇型)

特定の業種に対して税制の優遇措置を行っている国・地域です。オランダ、スイス、イギリス、アイルランド、ルクセンブルク、パナマなどが該当します。金融業や持株会社などに対して特別な税制優遇を提供しています。


③タックスシェルター(国外所得非課税型)

国外で生じた所得を非課税とする国・地域です。パナマ、コスタリカ、マレーシア、香港、リベリアなどが該当します。国内での事業活動には課税されますが、海外での収益には課税されないため、グローバルビジネスに有利です。


④低税率国

先進国と比較して相対的に税率が低い国・地域です。香港、マカオ、シンガポール、台湾、アイルランド、モンテネグロ、キプロスなどが該当します。完全な無税ではないものの、日本と比べて大幅に税負担を軽減できます。


これらの分類を理解することで、自身の資産状況や事業内容に最適なタックスヘイブンを選択できるようになります。



タックスヘイブンに移住するメリット


タックスヘイブンに移住するメリットは大きく分けて3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。


【タックスヘイブンに移住するメリット】


  • 低税率

タックスヘイブンの最大の魅力は、その低税率にあります。多くの場合、法人税がゼロまたは非常に低いため、企業の利益を最大限に保持することが可能です。


  • 資産保護

政治的に安定しているタックスヘイブンでは、資産を保護する法的な枠組みが整っています。また、相続税がかからないため、世代を超えて資産を残すことができます。


  • プライバシーの保護

多くのタックスヘイブンでは、銀行の秘密が厳守されるため、資産の詳細が外部に漏れる心配が少ないです。これが、プライバシーを重視する人々にとって重要なポイントとなっています。



タックスヘイブンに移住するデメリット


タックスヘイブンに移住することにはメリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。


【タックスヘイブンに移住するデメリット】


  • 安定性の欠如

タックスヘイブンとされる国や地域は、しばしば政治的な安定性に欠ける場合があります。これにより、突然の法改正が行われたり、政治的な理由で資産が凍結されるリスクもあります。また、社会的なインフラが十分に整っていないことも多く、医療や教育などの生活基盤が不十分な場合が多いです。


  • コストの発生

低税率の利益を得るには、移住や会社設立に伴う初期コストがかかります。また、一部のタックスヘイブンでは、生活コストが高い場合があります。


  • 法的リスク

タックスヘイブンを利用した税務計画が、所在国の法律によっては違法とされる可能性があります。また、税法が変更された際に、適応するための追加コストが発生するリスクもあります。タックスヘイブンを利用した税務上の問題が発覚した場合、国際社会からの信用失墜に繋がるリスクもあります。



【タックスヘイブン利用の合法性について】

タックスヘイブンの利用自体は違法ではありません。日本とタックスヘイブン国・地域の法律に基づいて正しく行えば、合法的な節税対策となります。


ただし、2016年の「パナマ文書」流出事件以降、タックスヘイブンには否定的なイメージが広がりました。反社会的勢力によるマネーロンダリングに利用されるケースもあるため、国際的な監視は年々厳しくなっています。


重要なのは、以下の点を遵守することです:


- 日本および現地の法律を完全に遵守する

- 税務申告を適切に行い、透明性を保つ

- ペーパーカンパニーと判定されないよう実体のある事業活動を行う

- 専門家(税理士・弁護士)に相談しながら進める


合法的に利用すれば、タックスヘイブンは有効な資産保全・節税戦略となります。


資産家のための移住先の選びのポイント


海外移住を考える資産家にとって、移住先の選定は非常に重要です。ここでは、そのような観点から最適な移住先を選ぶためのポイントを4つ解説します。


【移住先を選ぶポイント】


  • 移住先の税制

  • 政治・経済の安定

  • 生活環境の質

  • アクセスの良さ

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移住先の税制


最も重要なのは、移住先の税制です。資産家としては、特に以下の種類の税金がどれくらいかかるかをチェックすることが重要です。少なくとも下記の4つの税率について確認するようにしましょう。


  • 所得税:あなたの収入に対してどれくらい税金がかかるか?


  • 資産税:不動産やその他の資産に対して税金が課されるか?


  • 贈与税:生前贈与に税金が課されるか?


  • 相続税:あなたが亡くなった後、あなたの資産がどれくらい税金を負担するか?



政治・経済の安定


税率が低いだけでなく、政治的に安定しており、経済状況が良好な国を選ぶことをおすすめします。法律がしっかりとしており、政治的にも安定している国を選ぶことで、将来的なリスクを避けることができます。


政治的に不安定な地域では、政策が頻繁に変わることがあり、それにより税制が急変する可能性もあります。また、経済が安定していることは、あなたのビジネスや投資が成功する確率を高めます。



生活環境の質


税金や安全だけでなく、生活の質も重要です。教育、医療、公共インフラ、自然環境、文化的な充実度など、自分や家族が快適に生活できる環境かどうかを考慮することは非常に大切です。特に子供の教育や家族の健康を考えると、これらの要素は無視できません。



アクセスの良さ


資産家の場合、国際的なビジネスを行うことも多いため、交通の便が良いこともポイントです。ビジネスのために頻繁に他の国を訪れる必要がある場合や、家族が世界中にいる場合には、国際空港から直行便で多くの都市にアクセスできる場所が便利です。



資産家におすすめの移住先5選


資産家の方が海外で新しい生活を始める際に重視すべき点は、移住先の税制遇、安定した政治・経済、高い生活品質、そしてアクセスの良さです。ここでは、これらの条件を満たす世界の5つの国を紹介します。それぞれの国の特色を活かした移住プランを考えてみましょう。



シンガポール


シンガポールは、透明性の高い金融制度と企業や個人に対して非常に低い税率を課していることで知られています。法人税率が最大17%と非常に低く、個人所得税も最大22%と他の先進国に比べて格段に低いです。


また、資本利得税がないため、投資収益を最大化することが可能です。さらに、外国からの所得には非課税などの税制上の優遇があります。



ポルトガル


ポルトガルは、非居住者に対してNHR(Non-Habitual Resident)税制が適用され、特定の外国からの所得に対して10年間非課税となります。この税制を利用することで、海外から収入を得ている資産家にとって税負担が大幅に軽減され、効率的な節税対策をとることができます。


またゴールデンビザプログラムを利用すれば、投資を通じて滞在資格を得ることができます。このビザは、家族を含めた申請が可能で、5年後には永住権申請もできます。



マレーシア


マレーシアの「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム」(MM2H)プログラムは、外国人が比較的低いコストで長期滞在ビザを取得できるプログラムです。この国の所得税は最大30%と比較的低く、資産からの所得がマレーシア外で発生していれば、その所得をマレーシアに持ち込まなければ税金が免除されます。


また生活コストが低く抑えられる点や、高齢者向けの医療サービスも整っていることから老後も安心して生活ができる国の一つです。



カナダ


カナダは政治的に安定しており、教育や医療の水準が高いことから家族連れにも人気です。投資家や起業家向けのプログラムがあり、カナダ経済への貢献を条件に永住権を得ることが可能で、ビジネスの機会も豊富にあります。


税制は他と比較してやや高めですが、「世界で最も住みやすい都市ランキング」にカナダの複数の都市が毎年ランクインするほどの質の高い生活環境や公共サービスの質が保証されている点が大きな利点です。



ニュージーランド


ニュージーランドは美しい自然や政治的に安定した環境が整っています。投資家ビザプログラムを利用すれば、一定額以上の投資をすることで居住権を得ることができます。また、資本利得税がなく、個人所得税も最大33%と他国に比べて低めです。


さらに、高水準の公共サービスやレベルの高い教育システムがあるため、子連れで移住する家族にもおすすめの国の一つです。


日本居住者向けの節税戦略,一時所得を活用した生前贈与

日本に居住しながらタックスヘイブンを活用して節税する方法として、「一時所得の枠を利用した生前贈与」があります。



一時所得を活用した生前贈与の仕組み


手順:


1. タックスヘイブンに会社を設立する

2. 個人から会社へ資産を移転する

3. 会社から親族(子など)へ贈与する


この方法により、贈与された個人は「贈与税」ではなく「一時所得の所得税」の対象となります。



一時所得の税制上のメリット


一時所得は以下の計算式で求められます:


一時所得 = 総収入金額 − 支出金額 − 特別控除額(最高50万円)


さらに、他の所得と合算する際は、一時所得の2分の1のみが課税対象となります。


具体例:10億円を贈与する場合


- 直接贈与の場合:贈与税率55% → 約5.5億円の税負担

- 一時所得として贈与の場合:課税対象は5億円(10億円の1/2)、所得税・住民税率55% → 約2.75億円の税負担


税負担を半分に削減できます。



注意点とリスク


この方法には以下のリスクがあります:


- 同族法人からの贈与の場合:給与所得とみなされ、一時所得として認められない可能性

- 租税回避行為の指摘:税務署から不審な点を指摘され、一連の計算が否認されるリスク

- 複雑な税務処理:専門知識が必要で、誤った処理をすると追徴課税の対象となる


必ず税理士などの専門家に相談してから実行することを強くおすすめします。



まとめ


海外移住を計画する際には、資産移動のプロセスと節税対策が重要です。シンガポールやポルトガルなど、税制が有利な国を選ぶことで、節税対策を取りながら資産を守ることができます。


本記事で解説した重要ポイント:


✓ 資産移動の基本的な流れと必要書類

✓ タックスヘイブンの4つの分類と特徴

✓ 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)への対応

✓ 制限納税義務者制度を活用した相続税対策

✓ 一時所得を活用した生前贈与の節税手法


タックスヘイブンの利用自体は合法ですが、2017年・2023年の税制改正により規制が強化されています。ペーパーカンパニーと判定されないよう、実体のある事業活動を行うことが重要です。


また、制限納税義務者になるには10年以上の海外居住が必要であり、出国時には国外転出時課税制度にも注意が必要です。


税務署から「租税回避行為」と指摘されるリスクを避けるため、タックスヘイブンを活用する際は必ず税理士などの専門家に相談しましょう。


この記事を参考に計画的に資産移動の準備を行い、家族とともにスムーズかつ安心して新しい生活を始められるよう役立ててください。




小林雅之 Masayuki Kobayashi


海外移住コンサルタント、La Quarta代表。20年以上にわたり海外移住支援に携わり、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国の投資移住制度に精通している。これまで多数のクライアントの移住を成功に導いた実績があり、長年の実務経験に基づいて実践的かつ信頼性の高い情報を提供している。




弊社ではビザの申請サポートはもちろん、現地への移住サポートからお子様の学校探しのお手伝いまで幅広く行っています。


海外への移住をお考えの方は、ご希望に沿った形でのご提案やサポートが可能ですので、お気軽にご連絡くださいませ。

海外への移住に関する詳細:https://www.la-quarta.jp/immigration

 
 
 

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