オーストリア移住のデメリット|移住前後に感じる移住生活のギャップを解説
- lmeysmasa
- 11 分前
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オーストリアの中で特に芸術の都ウィーンへの移住に憧れる人は多いですが、実際の暮らしには想像していなかった課題も潜んでいます。特にウィーンの生活では、言葉の壁や高い生活費など移住前に描いていた理想とのギャップに直面することも少なくありません。
この記事では、オーストリア移住の魅力だけでなくデメリットにも焦点を当て、さらに移住前後で感じやすいギャップを詳しく解説し、後悔しないためにできることを丁寧に解説します。
この記事を通じて、現地での生活をより現実的にイメージし、安心してオーストリアへ移住できるようぜひ移住計画の参考にしてください。
目次
オーストリア移住を検討する前に知っておきたい基本情報
オーストリアへの移住を計画する際には、まずその国の基本的な特徴や制度を理解しておくことが重要です。
オーストリアはどのような国で、暮らしの拠点となる都市にはどんな特徴があるのか、そして移住に必要なビザにはどんな種類があるのか——こうした土台となる情報を把握しておくことで、移住後の手続きや生活もスムーズに進めやすくなります。
まずは、オーストリアという国の概要と、ビザ取得に関する基本的な知識から確認していきましょう。
ウィーンはどんな都市か

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ウィーンはオーストリアの首都であり、約190万人が暮らす国内最大の都市です。ヨーロッパ有数の文化都市としても知られており、音楽や美術、建築といった芸術に触れながら生活できる環境が整っています。
また、都市全体がコンパクトにまとまっており、公共交通機関も非常に発達しているため、車がなくても快適に移動できます。
教育機関も多く国際的な学校も充実しているため、子どもの教育を重視する家庭にも適しています。ただし、英語が通じる場面もあるものの、基本的にはドイツ語でのコミュニケーションが求められる場面が多いです。都市の美しさと利便性を兼ね備えた場所である一方、観光地化されている分、家賃や物価が高めなのも特徴です。
オーストリア移住に必要なビザの種類
オーストリアへ中長期で滞在するためには目的に応じたビザが必要です。主なビザには以下のようなものがあります。
ビザの種類 | 主な対象・目的内容 | 特徴・備考 |
居住許可 (Aufenthaltsbewilligung) | 就労、留学、研究、芸術活動、家族再会など多目的に対応 | 長期滞在の基礎となる許可で、目的に応じてさらに細かく分類される |
赤白赤カード (Red-White-Red )Card) | 高度人材や専門職など、オーストリアでの就労を目的とする外国人 | ポイント制で審査され、条件を満たせば「Red-White-Red Plus Card」に更新可能 |
学生ビザ (Student Residence Permit) | 大学や専門学校など、オーストリア国内の教育機関への留学 | 入学許可証、滞在資金、医療保険などの証明が必要。条件によりアルバイトも可 |
家族再会ビザ (Familienzusammenführung) | 配偶者・子ども・親など、すでに居住している家族との同居を希望する場合 | 扶養能力、住居の広さ・条件などが審査対象 |
自営業者向けビザ (Self-Employed Key Worker Visa) | フリーランスや個人事業主、スタートアップ経営者などが対象 | 経済的・地域的に有益と判断される事業内容であれば、発給の可能性が高くなる |
オーストリアのビザ情報については以下の記事をご覧ください。
オーストリア移住のメリット
オーストリアには移住先としての魅力が多くあります。高い教育水準や治安の良さに加え、美しい自然と豊かな芸術文化が調和した暮らしは、多くの移住者にとって非常に魅力的です。実際、2025年に発表された「Global Peace Index」では世界第4位にランクインし、国際的にも高く評価されています。
ここでは、オーストリアへの移住を検討する際に知っておきたい主なメリットを5つの視点からわかりやすくご紹介します。
文化・芸術が日常に根付いている
オーストリア、特にウィーンは「芸術の都」そして「音楽の都」と称されるほど、文化芸術が生活に深く根付いています。モーツァルトやベートーヴェンといった偉大な作曲家の足跡を感じられるコンサートホールや美術館が数多くあり、市民も気軽にそれらを楽しんでいます。日常の中に芸術が自然に存在しているのが特徴で、音楽や美術に関心のある人には理想的な環境です。
さらに、国や地方自治体による文化支援が充実しており、子ども向けの芸術教育や大人向けの文化イベントも豊富です。移住後のQOL(Quality of Life:生活の質)が向上し、心豊かな生活を送ることができるでしょう。
教育の水準が高い
オーストリアは、EU諸国の中でも教育制度が整っている国の一つです。公立の初等・中等教育機関は無料で質も高く、学力テストの国際比較でも安定した結果を出しています。さらに、国際バカロレア(IB)認定校もあり、英語や他言語での教育を受けられる環境も整っています。
ウィーンなどの都市部ではインターナショナルスクールも多く、外国人家庭でも教育面で不自由を感じることは少ないでしょう。また、大学は入学しやすい制度を採用しているため、高等教育まで一貫した学びの環境が整っています。
自然と都市が共存している
オーストリアはアルプス山脈に囲まれた自然豊かな国でありながら、都市部は近代的でインフラが整っています。特にウィーンでは、市内から公共交通機関で短時間移動するだけでハイキングやスキーを楽しめる自然スポットにアクセスできます。
また、公園や森林が市街地に数多く存在し、四季の移ろいを感じながら日々の生活ができる点が魅力です。都市と自然のバランスが取れていることで、健康的でストレスの少ない生活環境が整っています。
治安が良い
オーストリアはヨーロッパの中でも治安の良い国として知られており、夜間の一人歩きでも比較的安心できる環境です。ウィーンは世界の「住みやすい都市ランキング」でも常に上位にランクインしており、その理由の一つがこの治安の良さにあります。
犯罪率は他の欧州諸国と比べても低く、警察の対応も迅速で信頼されています。子どもや高齢者も安心して暮らせる国であるという点は大きな移住メリットの一つです。
EU諸国への移動が自由のため旅行がしやすい
オーストリアはEUおよびシェンゲン協定加盟国であるため、他のEU諸国への移動が非常にスムーズです。パスポートの提示なしで国境を越えられるため、週末旅行も気軽に楽しめます。
ウィーンからは鉄道や格安航空を利用して、1〜2時間でハンガリー、チェコ、ドイツ、スロバキアといった国々へアクセス可能です。旅行好きな方にとっては、多様な文化を気軽に体験できる地理的メリットも大きな魅力です。
オーストリア移住のデメリット
移住を考えるときは、良い面だけでなく、実際に暮らすなかで感じる不便や負担についても知っておくことが大切です。オーストリアでは、言語の壁や生活費の高さ、ビザ制度の厳しさなど、日本とは異なる点に戸惑う人も少なくありません。しかし、移住前にオーストリア移住のデメリットについて理解しておくことで対策をとることができます。
ここでは、オーストリア移住にあたって感じやすい代表的なデメリットを5つ取り上げ、注意すべきポイントを詳しく解説します。
ドイツ語ができないと日常生活や手続きに不便
オーストリアの公用語はドイツ語です。ウィーンの一部や観光地では英語が通じることもありますが、役所や病院、学校などでは基本的にドイツ語が必要です。特に行政手続きは全てドイツ語で行われるため、語学力がないと対応が非常に困難です。
さらに、日常生活の中でも、スーパーマーケットの表示や銀行手続き、医療機関での問診票など、ドイツ語が読めないと理解に苦労する場面が多くあります。ドイツ語が苦手な場合は、現地の語学学校に通う、オンライン学習を活用する、移住初期には日本語対応のサポートサービスを利用するなど、早めの準備が安心につながります。
税負担と社会保障費が高い
オーストリアは福祉国家として知られており、その代わりに税金や社会保障費が非常に高く設定されています。所得税は累進課税で最大55%にも達するため、高収入の人ほど負担が大きくなります。また、労働者が支払う社会保険料も給与の20%前後と高水準です。
自営業者やフリーランスにとっても、社会保険や年金への加入が義務付けられており、実際の手取り額が思ったより少なく感じることがあります。給与明細を見た際の差し引き額に驚く人も少なくありません。
生活コストが高い
ウィーンをはじめとする都市部では物価上昇が続いており、生活費は年々負担が大きくなっています。
たとえば、スーパーでの牛乳1リットルは約1.5ユーロ、外食はランチ1食で15〜20ユーロが一般的で、日本より割高に感じることも多いです。4人家族の場合の1カ月あたりの食費は、自炊中心の生活で約600~800ユーロが平均です。
下記はオーストリアと日本における食品の平均価格を示した表です。
品目 | オーストリアの価格 | 日本の価格 |
牛乳(1リットル) | 約1.5ユーロ(約247円) | 約200円 |
食パン(1斤) | 約2.50ユーロ(約412円) | 約300円 |
ジャガイモ(1kg) | 約2.50ユーロ(約412円) | 約300円 |
*為替レートは1ユーロ=165円で計算しています。
移住直後は物価感覚に慣れず、予想以上に支出が増えるケースが多いため、事前に現地の物価をもとに生活費シミュレーションを行っておくことが重要です。
家賃が高く物件探しが大変
オーストリアの生活費は、地域によって異なります。ウィーンなどの大都市では物価が高めですが、地方都市では比較的安く生活できます。特に家賃の差が大きく、ウィーンでは1LDKの賃貸が月900〜1,500ユーロ程度、地方都市では500〜1,000ユーロ程度が相場です。
ウィーンなどの都市部では、住宅価格が高騰しており、特に中心部の物件は競争率が非常に高いです。一般的な賃貸物件でも保証金や仲介手数料が必要で、初期費用が高額になる点もハードルの一つです。
また、オーストリアでは長期賃貸が一般的で、短期の滞在者向け物件は限られているため、物件探しは事前準備と地元情報の収集が鍵となります。ドイツ語でのやり取りが必須な場面も多く、不動産エージェントの利用を検討する人も少なくありません。
「Willhaben」や「Immobilienscout24」などのサイトでは、多くの賃貸物件が掲載されており希望条件に合うものを見つけやすくなっています。不動産エージェントを利用すると、契約手続きや家賃交渉をスムーズに進められるためドイツ語に不安がある場合にはおすすめです。
長期滞在や永住にはビザ要件が厳しい
オーストリアで長期滞在または永住を希望する場合、ビザや滞在許可の取得が大きな課題となります。Red-White-Red Cardなどの制度はあるものの、年収・職種・語学能力などの条件が細かく設定されており、審査も厳格です。
また、永住権や市民権を取得するには、通常5年以上の継続居住、A2レベル以上のドイツ語能力、統合テスト(ÖIF)合格などが求められます。手続きの複雑さに加え、要件の変更も頻繁にあるため、専門家のサポートが必要となる場合もあります。
オーストリア移住者が感じる移住前後のギャップ
「いざ移住してみると、想像と少し違った」と、事前に思い描いていたイメージと現地での暮らしのギャップに戸惑う方は少なくありません。オーストリアも例外ではなく、手続きの煩雑さ、交通の不便さ、医療や買い物に関する意外な不都合など、実際に住んでみて初めて気づく現実があるものです。
ここでは、特にオーストリア移住者が感じやすい5つのギャップを取り上げ、その背景や対策のヒントも交えてご紹介します。
手続き・行政対応が非常に煩雑
オーストリアでは役所の手続きが日本と比べて複雑で時間がかかることが多くあります。申請書類は基本的にドイツ語で書かれており、内容も専門的で理解が難しいものが少なくありません。また、窓口の担当者によって説明や対応が異なるケースもあり、一度で手続きが完了しないこともしばしばです。
オンライン化も進んではいますが、デジタルサービスが英語に対応していないことも多く、語学力と根気が必要です。一部の手続きはオンライン化が進んでいるものの、英語対応が不十分な場合もあり、現地の公式ポータル「oesterreich.gv.at」や電子身分証「ID Austria」の使い方を事前に確認しておくことが重要です。
移民やホームレスが多い
ウィーンを中心に、オーストリアでは移民や難民の受け入れが進んでおり、街中ではさまざまな国の出身者が暮らしています。こうした多様性は都市の魅力でもありますが、一部では社会的な不均衡や治安への不安を感じる声もあります。
また、ウィーン中心部の公共スペースではホームレスの姿を見かけることもあり、「整然としたヨーロッパの街並み」というイメージとの違いに戸惑う移住者もいます。
とくに小さなお子さんがいる家庭や高齢者のいる世帯では、地域選びが安心感に直結します。実際に足を運んで周辺の雰囲気を確認するほか、自治体が公開している犯罪統計や住民構成の情報などを参考に、居住エリアを検討するとよいでしょう。
「13区ヒーツィング」「19区ドルフシュティフ」「8区ヨーゼフシュタット」などは中産階級やファミリー層に人気のあるエリアです。また、「2区レオポルツタット」「3区ランドシュトラッセ」「5区マルガレテン」「7区ノイバウ」などは移住者に人気です。
一方、夜間は多少注意が必要な区域として、「10区ファヴォリーテン(Reumannplatz周辺)」が挙げられます。
買い物や外食が思ったより不便
ウィーンなどの大都市であっても、日曜日や祝日はほとんどの商業施設が閉まっているため買い物ができません。また、スーパーの営業時間も平日は18時〜19時で閉店するところが多く、仕事帰りに買い物するのが難しいこともあります。
外食についても価格が高い上に、メニューがドイツ語表記であることが多く、慣れるまでは注文に手間取ることがあります。日本のようなテイクアウト文化があまり根づいていないため、忙しい日の食事には工夫が必要です。事前に食品翻訳アプリを活用する、レストランの予約サイトで英語メニューの有無を確認するなど、対策をしておくと安心です。
地方は車がないとかなり不便
ウィーン市内は公共交通機関が充実しており、地下鉄や路面電車、バスを使って快適に移動できますが、地方に目を向けると事情は大きく異なります。バスや電車の本数が少なく、曜日によっては運行されない時間帯もあり、日常生活を送るうえで自家用車が不可欠となる地域も珍しくありません。
家族での移住や郊外での生活を予定している場合は、車を持つことを前提に住まいを選ぶことが現実的です。日本の国際免許証はオーストリアでは6か月間しか有効でないため、早めにオーストリアの運転免許証への切り替え手続きを進めておく必要があります。保険や車検の仕組みも日本と異なるため、現地の制度をよく確認しておきましょう。
医療制度は整っているが診療までの待ち時間が長い
オーストリアの医療制度は公的保険制度が整っており、基本的な医療サービスを低コストで受けられます。ただし、予約制が徹底されているため診療までに数週間から1か月以上かかることもあります。とくに専門医の診察は待ち時間が長く、すぐに受診したいときには不便を感じることがあります。
また、英語に対応している医師が限られているため、ドイツ語に不安がある場合は、あらかじめ英語対応が可能なクリニックや病院をリストアップしておくことが大切です。風邪や軽い体調不良であれば、電話医療相談「1450」で初期対応が可能な場合もあり、こうした現地の仕組みを知っておくことで、いざという時の不安も軽減されます。
オーストリア移住後の後悔を防ぐためにできること
オーストリア移住には多くの魅力がありますが、実際に暮らし始めてから「こんなはずではなかった」と感じる人もいます。そうした後悔を防ぐには、移住前にしっかりと準備をしておくことが欠かせません。
ここでは、移住後に後悔しやすいポイントに着目し、事前に取り組んでおきたい3つの対策について詳しく解説します。納得のいく移住を実現するためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
移住前から日常会話レベルのドイツ語を学習しておく
オーストリアの公用語はドイツ語であり、英語が通じる場面は都市部や観光地など一部に限られます。役所の手続き、病院での診察、子どもの学校、郵便局やスーパーでのやりとりなど、日常生活の多くはドイツ語で成り立っています。そのため、移住前に最低限のドイツ語の会話力を身につけておくことは、安心した生活を送るうえで欠かせません。
語学学校に通うだけでなく、オンラインレッスンやアプリ(例:Duolingo、Babbel、DeutschAkademie)を活用すれば、忙しい中でも効率よく学習できます。特に、「住民登録をしたい」「診察予約を取りたい」といった場面で使えるフレーズを重点的に学ぶと、実生活での不安が軽減できるでしょう。
また、オーストリア特有のドイツ語(ウィーン方言など)にも多少慣れておくと、聞き取りが楽になります。
短期滞在で現地のリアルな暮らしを体験しておく
本格的に移住を決める前に、1~3か月ほどの短期滞在を通して現地の生活に触れておくことは非常に有効です。旅行とは違い、「朝夕の気温差はどうか」「通勤ラッシュはどのくらいか」「日曜にどこで買い物できるか」といった実用的な情報を肌で感じることができます。
特にウィーンのような都市部と郊外では、生活スタイルや利便性に大きな違いがあるため、複数のエリアを歩いて比較してみるのがおすすめです。滞在中に家具付きの短期賃貸(例:serviced apartment)を利用すれば、住宅事情もリアルに把握できます。
子どもがいる場合は、現地の公立・私立学校や幼稚園を見学しておくと、教育方針や雰囲気がより具体的に掴めるはずです。
プロの移住支援サービスを利用して情報収集する
オーストリア移住は制度や言語の違いもあり個人で全てを調べるには限界があります。そのため、信頼できる移住支援サービスを上手に活用することが、最も確実な対策と言えるでしょう。
ビザ申請のサポート、住居探し、現地生活のアドバイスなど専門家によるきめ細かなサポートは移住に伴う不安を解消してくれます。
株式会社La Quartaは移住支援の専門サービスとしてビザの申請代行はもちろんのこと、住居探しや学校選び、現地での生活に関するアドバイスまで、総合的にサポートしています。
特に初めて海外移住を経験する人にとっては、プロの視点から「見落としがちなポイント」や「トラブルになりやすい手続き」を教えてもらえることが、失敗のない移住への近道になります。
まとめ
オーストリア移住には、文化や教育水準の高さ、美しい自然環境など多くのメリットがある一方で、ドイツ語の壁や高い生活コスト、ビザ取得の難しさといったデメリットも存在します。現地での手続きや医療制度のギャップ、地方での生活の不便さも含めて、実際に暮らしてみないとわからない課題が数多くあるのが現実です。
そのため、移住前にはドイツ語の習得や短期滞在の経験、そして移住支援サービスの利用を通じた事前準備が不可欠です。
オーストリア移住を検討されている方はぜひ株式会社La Quartaにご相談ください。言語や制度の違いをスムーズに乗り越え、より安心してオーストリアでの新生活をスタートできるようサポートしていきます。
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