香港移住ガイド|必要なビザ種類と現地の生活事情
- lmeysmasa
- 5月29日
- 読了時間: 12分

近年、多くの日本人が香港への移住を検討しています。香港は国際的な都市環境や低い税率、ビジネスのしやすさなど多くの魅力を持つ都市です。しかし、いざ移住を決意しても、「どのような手続きが必要なのか」「現地での生活はどうなるのか」など不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
ビザの取得方法から住居探し、銀行口座の開設、携帯電話の契約、さらには医療保険まで、香港での生活をスムーズに始めるためには事前の準備が欠かせません。また、生活費の目安や現地の特徴を知ることで、移住後のギャップを減らし快適な移住生活を実現できます。
この記事では香港移住に必要な手続きや生活事情について詳しく解説します。香港での新しい生活を実現させるためのポイントを押さえ、安心して移住の第一歩を踏み出しましょう。
香港とはどんなところ?
香港は中華人民共和国(中国)の特別行政区(SAR: Special Administrative Region)であり、アジアの金融センターとして知られ、世界中から多くの人が集まる国際都市です。
しかし、実際に香港に移住するとなると、地理や気候、言語など、基本的な情報を知っておく必要があります。
ここでは、香港について基本情報をご紹介します。移住をスムーズに進めるためにも、まずは香港について理解を深めましょう。

地理と気候
香港は中国南部に位置し、広東省の南端に隣接しています。総面積は約1,106平方キロメートルで、東京都よりも狭いですが世界的な金融センターとして発展しています。主に香港島、九龍(クーロン)、新界(ニュー・テリトリー)、離島の4つのエリアに分かれています。
気候は亜熱帯気候に分類され、夏は高温多湿、冬は温暖で乾燥しています。特に5月〜9月は蒸し暑く、台風の影響を受けやすい時期です。一方で、冬季(12月〜2月)は平均気温が15℃前後と過ごしやすく日本の冬ほど寒くなりません。ただし、室内の暖房設備が整っていないため寒暖差には注意が必要です。
日本からのアクセスや時差
香港は日本からのアクセスが非常に良く、東京・大阪・名古屋・福岡など主要都市から直行便が運航されています。フライト時間は東京・大阪から約4~5時間、福岡からは約3.5時間と短いため、移動の負担も少なく済みます。
また、香港の時差は日本より1時間遅れ(日本が正午のとき、香港は午前11時)なので、時差ボケの心配もほとんどありません。このため、日本との連絡が取りやすく、仕事や家族とのコミュニケーションもスムーズに行えます。
香港国際空港は世界でも有数のハブ空港であり、市内中心部へもエアポートエクスプレスで約24分とアクセスが良好です。移住後も日本への一時帰国が容易なため、安心して新生活をスタートできるでしょう。
言語
香港の公用語は広東語と英語です。広東語は香港の主要な言語として話されており、特に日常生活やローカルビジネスでは広く使われています。一方、英語は政府機関やビジネスシーンで重要な役割を果たしており、法律文書や公式な場面では英語が使用されることも珍しくありません。
近年では、中国本土との交流が増えたことから、中国語(普通話/マンダリン)を話す人も増えてきています。しかし、広東語と普通話は発音や語彙が大きく異なるため、香港で生活する際は広東語の基本フレーズを覚えておくと役立ちます。
英語がある程度話せれば日常生活には問題ありませんが、よりスムーズに移住生活を送るためには広東語を学ぶことも検討するとよいでしょう。
香港移住を検討する日本人が増えている理由
香港はアジアの中でも特に魅力的な移住先の一つとして、近年日本人の間で注目を集めています。その理由は、香港が提供する質の高い生活、国際的な都市環境、ビジネスチャンス、そして税制の優遇措置にあります。
ここでは、なぜ多くの日本人が香港移住を検討しているのか、その背景にある理由を詳しく見ていきましょう。
生活の質が高い
香港は、生活の利便性が高く、快適に暮らせる都市環境が整っていることから、多くの日本人にとって魅力的な移住先となっています。公共交通機関は発達しており、地下鉄(MTR)、バス、トラム、フェリーを利用すれば、市内の移動は非常にスムーズです。特にMTRは日本の電車と同様に時間に正確で、清潔に保たれているため、日本人でも違和感なく利用できます。
また、香港には日本のスーパーや飲食店も多く、日本食の食材も比較的簡単に手に入ります。特に、銅鑼湾(コーズウェイベイ)や尖沙咀(チムサーチョイ)などのエリアでは、日本の食文化を感じられるスポットが多く、日本人にとって暮らしやすい環境が整っています。
医療水準も高く、私立病院は最新の医療設備を備えた施設が多く、英語や広東語ができる日本人医師が在籍する病院もあります。ただし、香港の医療費は日本と比較すると高額になるため、移住後は医療保険の加入が不可欠です。
国際的な都市環境
香港は世界中から多くの人々が集まる国際都市であり、多文化が共存する環境が特徴です。ビジネスの中心地である中環(セントラル)や湾仔(ワンチャイ)には、欧米やアジア各国の企業が集まり、日常的に英語や広東語が飛び交うグローバルな雰囲気が感じられます。
また、世界的なイベントや展示会が頻繁に開催され、国際的なネットワークを築く機会が豊富にあるのも香港の魅力の一つです。ビジネスパーソンにとっては世界中の企業と交流し、キャリアを発展させる絶好の環境と言えます。
さらに、国際的な教育機関も多く、インターナショナルスクールやバイリンガル教育を受けられる学校が充実しているため家族での移住を考えている人にとっても魅力的です。
良いビジネス環境
香港は、アジア随一のビジネスハブとして知られており、多くの企業が本社機能を置く場所でもあります。その理由の一つは、ビジネスのしやすさを支える法律やインフラが整備されていることです。
まず、香港は法人設立が非常に簡単で手続きもスムーズに進められます。日本と比較して規制が少なく起業しやすい環境が整っているため、個人事業主やスタートアップ企業にとっても魅力的な市場です。
また、国際貿易の要所であり物流インフラが整備されているため、輸出入ビジネスを行いやすいのも特徴です。さらに、香港国際空港は世界有数のハブ空港であり世界各国へのアクセスが容易なため、グローバルにビジネスを展開する企業にとって大きなメリットがあります。
香港は、ビジネスに関する自由度が高く投資家や起業家にとって最適な環境が整っているため、キャリアアップを目指す日本人にも人気の移住先となっています。
税金が低い
香港は世界でもトップクラスに低い税率を誇る地域の一つです。個人所得税(給与税)は最高でも17%と、日本の所得税率(5%〜45%)と比較して大幅に低く抑えられています。また、企業に課せられる法人税も標準税率は16.5%と、他の主要国と比べても低めに設定されています。さらに、消費税(VAT/GST)が存在しないため生活コストを抑えやすいのも特徴です。
また、香港では資産にかかる税金(相続税やキャピタルゲイン税)が基本的にないため、投資や資産運用を行う際にも有利な環境が整っています。このように、税制面でのメリットが多いため、香港は多くのビジネスパーソンや投資家にとって理想的な移住先となっています。
香港移住に必要なビザの種類と条件
香港への移住を検討する際、最も重要なステップの一つがビザの取得です。香港には、就労ビザ、投資ビザ、優才計画ビザなど様々な種類のビザがあります。
ここでは、それぞれのビザの特徴や申請条件について詳しく解説します。あなたの状況に適したビザを選び、スムーズに香港移住を実現するために、まずはビザの種類と条件をしっかり確認しておきましょう。
就労ビザ
香港で働くためには、「一般就労ビザ(Employment Visa)」の取得が必要です。このビザは、香港の企業に雇用される外国人向けのもので、内定を得た上で雇用主がスポンサーとなり申請を行う仕組みになっています。
取得条件
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特に、香港では現地の労働市場を保護するために申請者が香港市民や既存の労働者では代替できないスキルや経験を持っているかが重視されます。そのため、申請時には過去の職務経歴や資格などを詳細に説明する必要があります。
申請の流れ
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投資ビザ
香港で会社を設立し、自らビジネスを運営する場合は投資ビザ(Investment as Entrepreneur Visa)が必要です。これは、企業オーナーや起業家向けのビザであり、香港経済への貢献が期待される事業に対して発給されます。
取得条件
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申請の流れ
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優才計画ビザ
優才計画ビザ(Quality Migrant Admission Scheme:QMAS)は、香港政府が優秀な外国人人材を積極的に受け入れるために設けた制度です。ポイント制が導入されており、申請者のスキルや経歴、学歴などによって審査されます。
取得条件
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この制度では、申請者はポイント制(General Points Test または Achievement-based Points Test)で評価され、基準点を超えた場合にのみ申請が認められます。
ポイント制度の評価基準(一般ポイント制の場合)
項目 | 最大ポイント |
年齢(18〜39歳が高得点) | 30点 |
学歴(博士号取得者は高得点) | 40点 |
職歴(管理職経験があると加点) | 50点 |
語学力(英語・中国語が堪能なら加点) | 20点 |
家族の経済状況・香港とのつながり | 30点 |
申請方法
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このビザは、他のビザと異なり香港に雇用主や投資企業がなくても申請できるため、特定の企業に依存せず移住を検討している人に適しています。ただし、審査基準が厳しく、申請者の競争率も高いため、しっかりとしたキャリアの裏付けが必要です。
香港に移住後の生活費はいくら必要?
香港へ移住する際、多くの人が気になるのが生活費です。香港は世界的にも物価が高い都市の一つであり、住宅費、食費、医療費、教育費、光熱費・通信費など様々な支出を事前に把握しておくことが重要です。特に、住宅費は都市部と郊外で大きな差があり、どのエリアを選ぶかによって毎月の支出が大きく変わります。
ここでは、香港での移住生活にかかる生活費について詳しく解説します。移住後の資金計画を立てる際の参考にしてください。
住宅費
香港の住宅費は世界でも特に高額な水準にあり、移住後の生活費の中で最も大きな割合を占める支出となります。特に、中心部に近いエリアでは家賃が高騰しており、どの地域に住むかによって費用は大きく変わります。
セントラルや九龍の中心部では家賃が非常に高く、家賃を抑えたい場合は新界や離島エリアを選択するのも一つの方法です。ただし、通勤時間が長くなる点には注意が必要です。また、香港では敷金・礼金の代わりに「デポジット(通常2カ月分)」と前家賃の支払いが求められるため、入居時の初期費用も考慮する必要があります。
住宅費の目安(1HKD=19円で換算)
エリア | 1LDKの平均家賃(月額) |
セントラル(中環) | 30,000〜50,000HKD(約57万〜95万円) |
九龍(カオルーン) | 20,000〜35,000HKD(約38万〜67万円) |
新界(ニュー・テリトリー) | 12,000〜25,000HKD(約23万〜47万円) |
食費
香港の食費は、外食か自炊かによって大きく異なります。香港は外食文化が根付いており、手軽に食事ができるレストランや屋台が豊富ですが日本と比較すると価格が高めです。
例えば、ローカルの食堂(茶餐廳)を利用すれば1食あたり40〜80HKD程度で済みますが、日本食レストランや西洋料理店では1食200HKD以上かかることもあります。
また自炊中心の食生活の場合、4人家族の1カ月当たりの食費は10,000〜18,000HKD(約19万〜34万円)程度が目安になります。
医療費
香港の医療制度には公立病院と私立病院があります。公立病院は安価で利用できますが、待ち時間が長くなる傾向があります。一方、私立病院は迅速で高品質な医療を受けられるものの、治療費が高額になるため、移住前に医療保険への加入を検討することが重要です。
医療費の目安
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香港に移住する際には、医療保険への加入が必須です。特に私立病院を利用する可能性がある場合は、海外旅行保険や現地の医療保険に加入しておくことを強く推奨します。。
教育費
香港には公立校、私立校、インターナショナルスクールの3種類の教育機関があり、選択肢によって教育費が大きく異なります。日本人の移住者は、インターナショナルスクールまたは日本人学校を選ぶことが多いですが、学費が高額な点に注意が必要です。
学校の種類 | 学費(年間) |
公立校(現地生徒向け) | 無料〜低額 |
私立校 | 50,000~120,000香港ドル(約100万~240万円) |
インターナショナルスクール | 100,000~250,000香港ドル(約200万~500万円) |
日本人学校(香港日本人学校・小学部) | 約90,000香港ドル(約180万円) |
教育水準は高いものの、インターナショナルスクールの入学枠は限られており、事前の申請が必要です。また、学費以外にも制服代、教材費、課外活動費などの追加費用が発生することも考慮しましょう。
光熱費・通信費
香港の光熱費や通信費は、日本と比較するとやや高めの水準となります。特に、エアコンの使用が多くなる夏場は電気代が高騰しやすいため、使用量には注意が必要です。
光熱費の目安(1か月あたり)
項目 | 月額費用 |
電気代(エアコン使用時) | 800〜2,000HKD(約15,200〜38,000円) |
水道代 | 50〜200HKD(約950〜3,800円) |
ガス代 | 150〜400HKD(約2,850〜7,600円) |
インターネット | 200〜500HKD(約3,800〜9,500円) |
携帯電話(SIMプラン) | 100〜300HKD(約1,900〜5,700円) |
まとめ
香港は、国際都市としての魅力や低税率の恩恵を受けられる点が大きなメリットですが、生活費やビザの取得条件など、移住前に知っておくべきポイントも多くあります。特に、住宅費は世界でもトップクラスの高さであり、どのエリアを選ぶかが生活コストに大きく影響します。
スムーズな移住を実現するためには事前の準備と正しい情報の収集が必要です。香港移住に関する具体的なアドバイスやサポートを希望される方は、株式会社La Quartaにぜひお問い合わせください。
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